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いのち。

nyann-1_convert_20081028130148.jpg
僕が小学4年生の時、
飼っていたウサギが死んだ。
そのコは「クリちゃん」という名前だった。
母から学校に緊急の連絡がきて、
僕は職員室でその電話を受けた。
子供ながらに僕はそのコを大切に可愛がっていたから、
少しでも早く「クリ 」に会いたくなって、
その旨を告げて「早退させて下さい」と先生に言った。

...だけどその時の先生は...
「たかがペットの事などで」と、
その理由を受け入れなかった。
結局僕は5時間目まで授業を受け、
家に帰った時には、
もう冷たくなって、
静かに横たわるクリを見る事になった。

それは間違いなく、
「ついさっき」まで呼吸をしていた"何か"だった。
長い時間を一緒に過ごした中の、
たった数時間、たった数分でもよかった。
そんな少しの時間の不在を
なぜ許してくれなかったのだろう?

あの時、僕にクリの死ぬ間際を見せようと、
学校にまで電話をしてきた母の判断は間違っていなかったはずだ。
今でも僕はそう思う。


あれから随分の月日が流れて、
僕は新しいペットを飼い始める事となる。
そいつはいつも僕の足を引っ張り、
「虚無」という言葉を象徴するような、
破壊的で破滅的な動物だった。

大量に飲み干したお酒と、
大量に飲み干した睡眠薬。
バケツ一杯にためられていたお湯と、
右手に握られていた包丁。
そんな風に目覚めた朝があって、
ようやく僕が飼っていたペットの名前が分った。


「暗闇」


それは親友でも、家族でも、
僕自身でも分らない深い深い「闇」だった。
あの朝に感じた恐怖、畏怖、違和感、絶望感。
底の無い暗闇の淵を初めて覗き、
その傍らで僕は大人になった。
そいつは今でも僕の世界の隅に居座って、
息をひそめて待っている。
僕がまた狂う日を。僕がまた砕け散る日を。
それと戦うように、
それに負けないように、
僕はずっと生きてきた。

正直に言えば、
ここ数週間そいつがまた手招きをして、
僕を暗闇の奥へと誘っていた。
光のひとつもないその場所は、
予想以上に恐ろしい。
僕はできるだけ世界との接点を断ち切った。
必然的に増えてゆく薬の量。

「何も求めないから、何も奪わないで。」
何も感じずに、感じないように、
布団にくるまって毎日をやり過ごす事だけが、
僕にできる唯一の方法だった。

「消えたい」という気持ちが「消えない」
...一日が途方も無く長く感じる。

その病んだ心の動物は、
隙を見せると「あっ」と言う間に全てを飲み尽くす。
飼いならす事もできない、僕の中の「怪物」だった。
それと戦うように、
それに負けないように、
僕はずっと生きてきた。


東京はいつまでたっても
僕にとっては息苦しい街だ。
ちょうどLIVEもなかったし、
新曲も書き始めたかったから、
実は少し環境を変えて、
引っ越そうと考えていた。
場所も決まり、荷物も梱包して、
契約もほぼ終えていた。
僕が行こうと思っていた街は
「神奈川県中郡大磯町」
徒歩3分で海に出れる素敵なマンションだった。

「ここならいい曲が書けるかも」
「ここなら一人で頑張れるかも」
「ここなら...闇は追ってこないかも」
ギターをかかえて海に行こう。
少しだけ気持ちがウキウキしていた。

そう思ってた矢先に、母からの電話があった。
それは前入金をして、
本契約をする二日前だった。
母の重たい口調から、
僕はとっさにウサギの事を思い出した。
nyann-2_convert_20081028130639.jpg
...ウチの愛猫「にゃん」が死ぬらしい。
末期の癌で、余命は長くて一ヶ月と宣告された。
手術はよけいに「いのち」を削る事になるから、
家でゆっくり、"その日"を待つことが最良だと医者に言われた。

それを聞いた後、
僕はすぐさま契約書を破り捨てて、
キャンセルの電話を入れた。

行き場所?
暗闇?
鬱病?
怪物?
そんなの知るか。
「たかがペット?」
今回そんな言葉は誰にも言わせない。

そのくらい僕は「にゃん」に救われてきたし、
いつもはツーンとしてるのに、
僕がヘコんで帰ってきた時に限って、
何気なく足下で寝てくれたりする様な、
本当に優しいコだった。

あのコは昔からちょっと不思議な...
超能力のようなものを持っていたから、
このタイミングで来た連絡に、
思わず「にゃん」らしいなと思った程だった。
 
あのコはきっと、自らの「死」と引き換えに、
僕に何かを伝えようと、
母の口を借りて電話してきたに違いない。
それとも「最後くらいは一緒にいようよ」って、
単純なメッセージだったのかも知れない。
とにかく僕は行き先を実家に変えて、
それからずっと...今は「にゃん」のそばにいる。
S-13_convert_20080716004737.jpg
コツコツと曲を作りながらも、
常に傍らにいてもらってる。
あのコの為に一曲創ろうとも思っている。
ふと気がつけば、
「暗闇」も「怪物」も、
どこか遠くへ行ってしまっていた。

ねえ、にゃん。
どうして僕を呼び寄せたンだい?
最後に何を伝えたいンだい?
もしかしたら。
僕の痛みを代わりに引き受けてくれようとしているのかい?

「にゃん」は死ぬ。
僕はいきる。

それをしっかり見届けたあとに、
僕の中の何かが確実に変わると思う。

「にゃん」は死ぬ。
僕はいきる。

でもね。
少しづつ痩せていく銀色の背中をなでる度に、
どうしようもなく涙が出る。
...優しい痛み?
今は分らない。

でもね。
涙が止まらない。
どうしようもなく、
止まらないンだよ。
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14:12 | my routine life | comments (28) | trackbacks (0) | page top↑
どこであれそれが見つかりそうな場所で。 | top | 羽。

コメント

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by: | 2008/11/28 12:30 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/22 18:19 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/22 16:43 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/19 23:15 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/17 17:47 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/15 01:15 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/13 22:46 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/09 22:07 | URL [編集] | page top↑
#
ミチガエル さっちんの優しい声良い!可愛い~v-10
トイレ掃除しよーっと。
by: ちろりん | 2008/11/06 10:58 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/11/02 01:06 | URL [編集] | page top↑
#
今私の膝の上で愛犬がスヤスヤと眠っています。
超ビビリで気がちっちゃくて犬と上手く遊べないワンコ。
この自分に似たワンコがたまらなく大好きで
ずっと一緒に居たい。でも、その日は必ず来る訳で
想像しただけで悲しくて泣けてくる。。。
だからその日が来るまで、いっぱいいっぱい一緒に居て、
いっぱいいっぱいギューして、いっぱいいっぱいチュー
しようと思ってます。
にゃんは今さっちんのそばに居れて幸せやと思うよ。
by: ちろりん | 2008/10/31 21:11 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/31 06:23 | URL [編集] | page top↑
#
どんな言葉も今のあなたに触れることは
出来ないと思うけれど

あなたを想っています。
私やあなたを大切に思う人たちの
気持ちや優しさが
少しずつしみこんでくれればと思います。
とげとげを包み込めばいいと思います。

でもこうやって書いてくれてありがとう。
弱さも暗闇も抱えてるあなたを
ずっとずっと好きになりました。

おやすみなさい。
by: tewo | 2008/10/31 00:51 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/30 23:01 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/30 11:53 | URL [編集] | page top↑
#
いのちって儚い。生きることってとても切ない。
なんか涙が溢れてどうしょうもないです。


海、わたしも好きで、休みになると都会を出て二時間、そこに向かいます。海にいるとそれだけで気持ちがいいんですよね。
海があって水平線あって、空があって。
とにかく、すんごく広い。

思いきり癒されて帰ってきます。


にゃんちゃん(君かな?)、絶対に西沢さんに側に居て欲しかったんでしょうね(笑)
想いって伝わる気がします。
でも逆に、西沢さんはそれによって救われてるのだから、ホント面白い。
素敵な猫ちゃんだなって思いました。

にゃんちゃんが引き留めてくれた時間、めいっぱい愛してあげて下さいな。
by: スピ | 2008/10/30 06:40 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/29 23:49 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/29 21:50 | URL [編集] | page top↑
# ありがとうありがとうあいしてる
なみだがいま、とまりません。

何度も西沢さんのブログにコメントをしようと思いつつ
なかなか実行にうつせなかったけれど
今日やっと、あなたとお話ができる気がします。


あたしにも3歳になる愛犬がいます。
最初は可愛いさだけが見えていたけれど
そのうちモノを壊されたり噛まれたり
散々な目に遭いました。
でも、彼女もいまはオトナになって落ち着いて、
いっしょに日々を過ごしています。

本当に、動物・ペットというものは不思議ですね。
悲しいときに、あたしに擦り寄ってきたり
顔をぺろぺろ舐めてくれます。
いったい彼らは何処まで判っているのでしょうか...

"たかが"なんて、酷いですよね。最低です。
言ってはいけない、ひとことだと想います。
ペットだって家族で、人間が死ぬのと同じ重さなのに。
寧ろ薄汚れた人間よりも、他の動物のいのちのほうが
とってもたいせつで重い気もします。

ずっとずっといっしょにいてください。
しっかりと死を受け止めてください。

さよなら、なんて悲しいことじゃなくて
ありがとうという感謝の気持ちと
たくさんの愛してるを伝えてください。

しあわせな気持ちでゆっくりと眠れるように。


最近凄く悩んだり、辛いことがあってへこんでいたけれど
なんだか頑張らなきゃって、思えてきました。
だってあたしたちは、生きているんですもん。
神様が与えてくれたいのち。
たかがあたしだけど、されどあたし、かもしれないと信じて。

頑張ります。
西沢さんも、頑張ってください。生きてください。
by: mary | 2008/10/29 21:22 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/29 00:17 | URL [編集] | page top↑
#
ご無沙汰しています。
私も小さいころから黒猫と一緒に育ってきました。
彼との別れを、最近妙に思い出していたところで、
サトシさんの気持ちが凄くよく分かって
泣けてしまいました。

うちの子は動けなくなってしまい、
朝、家族が全員居るときに一言にゃあと泣いて
息を引き取りました。
ありがとうって聞こえた気がしました。
それはあたしの声だったかもしれないけど。

今でも彼は私のそばにいると思います。
もう5年も経っていますが、気配を感じることは未だにあります。

にゃんとの残りの時間を、大事にして下さい。
by: 舞 | 2008/10/28 22:26 | URL [編集] | page top↑
# 大切ないのち。
生きとし生けるもの全てに死は訪れる。

当たり前のようなことですが、いざその壁にぶち当たると、そんなの知るか!って自分の無力さとかやるせなさ、言葉じゃとても表せない悲しみ...色んなものが複雑に絡み、苦しめます。


私も、私にとって、すごく大切ないのちのカウントダウンを聞かされたことがあります。

苦しくて、悲しくて、なんで?って何度も思ったけれど、支える為に強くあろうと決めた瞬間でした。

何も言えず、触れることも出来ず、突然の別れがくるよりも、今こうやって言葉をかけあえたり、触れあえる...それがあるだけでも良かったんだと。私はそう言い聞かせています。


あれから1年と数ヶ月。告げられた余命を超しました。


たくさん撫でて、たくさん傍にいて、たくさん声をかけてあげて下さい。
by: ひとみ | 2008/10/28 22:25 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/28 21:49 | URL [編集] | page top↑
# 全てに終わりがあると分かっていても・・・
さっちん、辛いよね(涙)
何かの終わりが分かっているが為にこの状況は辛いね。。。
末期癌なんて・・・。
私には、この言葉は辛すぎる。
by: ilma | 2008/10/28 21:30 | URL [編集] | page top↑
#
西沢さんがツライ時にそばにいてくれたにゃんは、
今、西沢さんが自分のそばにいることを本当に喜んでいると思います。
にゃんとの関係を知らないわたしにも、
西沢さんがにゃんを心からかわいがっていること、
すごくすごく伝わってきました。
by: みっちぇるん | 2008/10/28 21:20 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/28 18:22 | URL [編集] | page top↑
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by: | 2008/10/28 17:55 | URL [編集] | page top↑
#
ペットって不思議な力ありますよね。。。
うちは犬を飼っているのですが、私が元気無いときは「どうしたの?」と言ってるような顔をして側によってきたり、泣いてたら顔をペロペロなめてくれたり、自分の膝の上で寝ててくれるだけで自分の中のモヤモヤした気持ちや黒いモノが無くなっていくような気がします(*´ω`*)
「にゃん」ちゃんはきっと西沢さんの事を色々と察知して呼び寄せたんだと思います
大事な家族との別れはとても辛いですが、最期まで見届けてあげてください。。
by: ゆい | 2008/10/28 15:58 | URL [編集] | page top↑

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